華僑流おカネと人生の管理術 (宋文洲)
概要
2011年5月に初版発行。
【はじめに】
"困難な状況の中でも生き抜く華僑のノウハウを皆さんに紹介していきます"
【プロローグ】
"本書では、そんな華僑のノウハウの一端を、宋文洲という一人の人間の体験を通した形ではありますが、できる限り伝えていきたいと思います"
とあるように、華僑ならどうするかを自分の体験談や伝聞、考え方を基に書かれている本だ。
感想
読み終わってまず最初に思ったのが、「タイトルが壮大すぎたな」、ということだ。
華僑とは、みたいな大きな話を期待して読むと期待外れになる。
あくまでも1華僑である筆者の話であり、華僑全体としてどうなのかという話ではなかった。
そういうものを期待して読んでいたので、あれ?と肩透かしをくらった気持ちだ。
【はじめに】に華僑のノウハウを紹介するとあったために誤解してしまった。
勝手に期待することの弊害を教えてくれたとも言える。
でも、勝手に期待さえしていなければ、知っているけれども改めてそうだな、と感じることが沢山ある本で読んでよかったと思う。
知っているがつい忘れがちになることを改めて思い出させてくれる本だった。
ものすごく目新しいことが書かれているわけではないが、今の自分を振り返るのにちょうどよかったと思う。
次のステージに行く前やちょっと難しそうな戦いの前に装備の点検をする感じを思い出した。
生き残る力の大切さ
"たとえ悪い偶然に遭遇したとしても、それらを受け入れ、挫折を挫折で終わらせずに。次へと進んでいく力。それこそが、「生き残る力」です。"(p24)
この生き残る力を華僑は日々磨いている。
そして、自国であってもこの「生き残る力」を磨いていくことは大事だと思った。
今の時代、転職がどんどん当たり前になり、会社もいつなくなるかわからない、公務員であっても安泰とは限らない、本当に何があるかわからない時代には「生き残る」ことこそが大事なのではないか。
年齢を重ねるごとに生きることが少しずつ楽になっていったのは、挫折を味わいそこから立ち上がってきた経験によって「生き残る力」が少しずつ磨かれていったからかもしれないと思う。
失敗を失敗として終わらせるのではなく、そこから何かを得ることで経験として蓄積できれば、人生がもっと豊かになる気がする。
自分にとっての”小瓶”
そして、"小瓶"の存在は、日本で生きていても、外国で生きていても必要だろうなと感じた。
"小瓶"は心の基地。筆者は家族や宗教、友人などを例に挙げていたが、趣味なども"小瓶"になり得ると思う。
そこに入り、蓋を閉めてしまえば心の平安が保たれる場所。
一つでなくてもいいと思う。むしろ複数ある方がいいのではないか?
自分にとっての"小瓶"とは何か?を考えるいい機会になった。