北斎の罪 (高橋克彦)
表題作含む伝奇、SF、ホラーの7つの短編集である。
各短編はそれぞれ独立して話だが繋がっている。
「鏡台」は短い話だが、じわじわと怖い。
鏡台を天眼鏡で見ることで化け物たちの世界が見える。
ちなみに天眼鏡とは、
「《人相見が使って、運命など普通には見えないものまでも見通すところから》柄のついた大形の凸レンズ。」
のことである。
見えないものまでも見通せるレンズで鏡を覗き込む。
想像しただけで怖い。
”腕がたった二本しかない人間に取り囲まれて暮らすなんて・・・”という恐怖に取りつかれた「私」。
当たり前であることが恐怖になる得ること、他人にはその変化が見えないこと、色んな要素が怖かった。
表題作の「北斎の罪」は、面白かった。