読書ログ

読んだ本の感想を書き連ねていくブログ

北斎の罪 (高橋克彦)

表題作含む伝奇、SF、ホラーの7つの短編集である。

各短編はそれぞれ独立して話だが繋がっている。

 

「鏡台」は短い話だが、じわじわと怖い。

鏡台を天眼鏡で見ることで化け物たちの世界が見える。

ちなみに天眼鏡とは、

「《人相見が使って、運命など普通には見えないものまでも見通すところから》柄のついた大形の凸レンズ。」

のことである。

 

見えないものまでも見通せるレンズで鏡を覗き込む。

想像しただけで怖い。

 

”腕がたった二本しかない人間に取り囲まれて暮らすなんて・・・”という恐怖に取りつかれた「私」。

 

当たり前であることが恐怖になる得ること、他人にはその変化が見えないこと、色んな要素が怖かった。

 

表題作の「北斎の罪」は、面白かった。

ゴッホが浮世絵に影響を受けたのは展覧会などでも見かけて知っていたが、北斎漫画も一役買っていたのは知らなかった。

北斎の責任ではないが”北斎の罪”はあまりにも大きい。壮大だ。